ちょっとした刺激に反応してしまう話
普段なら、何も感じないことに、ビビッドに反応してしまうことがある。
ここ1ケ月色々と忙しくて、音楽や読書からも遠ざかり気味。 先日久しぶりに電車の中で、何気なく聴いてみると、一々感動した。乾ききった心に、水が染みとおる感じ…というのがオーバーじゃない位。「消えてしまう痛みなんて、本当の悲しみじゃない」みたいな歌詞が、妙に響いて、我知らず、涙を流しているという有様。横に座っているおっちゃんが、薄気味悪そうな目で見ていた。泣いている理由は、俺自身にも良くわからない。突然泣き出した40過ぎの男って、周囲の人間にとって、かなり不気味なんだろう。
余り、根詰めて仕事をすると、ヘンになるので、皆さんも気をつけましょうね。
何かの刺激に反応するといえば、大学の後輩で、飲んでいる時に、「お袋」「親父」などのタームを聞きつけると、激しく反応して泣いてしまう奴がいたのを思い出した。
「親父さん、熱燗もう一本」
「金田さん、僕…(既に涙ぐんでいる)」
「ど、どうした。気分が悪いの?もしかして、俺何か悪いことした?」
「親父が、事業に失敗して、お金がないのに、ぼ、ぼくを、大学に入れる為に、苦労して…(号泣)。それなのに、僕は浪人してしまって…」
世の中で、最も不幸な出来事の一つは、宴会のときに、偶然泣き上戸の人の前に座ってしまう事ではないか…と俺は確信をしている。俺は、その当時、飲んだら騒ぐぜ、騒ぐと飲むぜ&暴れるぜ…というノリの人だったので、こういうウェットなのは、無理無理、勘弁してくだせえ…という感じだった。
「そ、そうか、それは大変だったね。ところで、え~っと(兎に角、話題を変えたい俺)刺身の三点盛りは、何人前必要かなあ、さつま揚げもオーダーしておこうか? ここの、がんも、袋の中にお餅が入ってて美味しいよ」
「お、お袋も、僕を励ましてくれて(号泣)。でも、僕は浪人してしまって…。でもこうやって入学できて、お酒も飲めて…ぼ、ぼくは幸せ者です…」 彼が幸福に浸っている間、俺はとてもブルーだったのを記憶している。
これまで、数十回聞いており、筋も暗記している話なのに、必ず笑いのツボを、激しく突くものもある。
奄美大島出身の会社の先輩が、「奄美には、(人の背丈より)大きいソラマメがある」という与太話などは、既に何度聞いたか判らない話であるにもかかわらず、いつも可笑しい。
彼が、「奄美にはさあ…」と切り出した段階で、周囲の人間既に笑う準備OKだ。皆、心の中で、「あれだ、あれ、奴のあの話がでるぞ~。ついに、あの話が炸裂するもんね」と期待感が、急上昇カーブで、膨れ上がるのを、どうすることも出来ないのだった。
「実は、さあ、奄美には、象よりでっかいソラマメがあるんだよね」 話すたびに、豆が巨大化の一途をたどるのも、ビミョウなアクセントになっている。
ということで、何かの刺激に、痛烈に同じ反応をしてしまう話でした。

