オリンピック雑感おわり
歳をとったせいか、勝者よりも敗者のほうに、どうしても目が向いてしまう。
敗者の言葉。
鈴木桂治選手
「おれ何やってきたのかな。技を一つも出していない。弱かったとしか言いようがない。(進退を問われ)今は空っぽ。もう一度畳に上がっても投げられると思う」
アテネの金メダリスト、競泳女子自由形の柴田亜衣選手
「情けないし、申し訳ない。代表に選ばれたからには、それなりの結果、記録を出さないといけない。(この4年は)長かったような、短かったような」
競泳男子二百メートル背泳ぎの中野高選手(予選で、50メートルのターンの目測を誤ってタッチ板に頭から衝突し、21位で敗退)
「スピードの感覚が速くて、(目印となる)フラッグが見えなかった。人生で初めて。何のために、ここに来たのか……」
為末大選手
「予選が厳しいのは覚悟していた。思い切って行ったが、最後は脚が動かなかった。現段階の100%の力を出したので、これが今の力です。もうちょっと五輪のグラウンドに立ちたかった。20年も(陸上を)やってきた。ちょっとだけ走るのを休み、何を思うか待ってみたい」
開会式で米国の旗手を務めたスーダン難民、陸上男子千五百メートルのロモング
「(発展途上国の子供たちに)不可能なことはない。自分の可能性を信じろ。一生懸命頑張れば、報われると伝えたい」
柔道女子52キロ級・中村美里選手
「悔しい。力が足りない。金メダル以外は同じです」
競泳女子四百メートル個人メドレー・春口沙緒里選手
「ジャパニーズの強さを見せたかったけど、焦って心で負けてしまった (高速水着「レーザー・レーサー」でなく国産で出場し予選落ち)」
競泳女子二百メートルバタフライ・中西悠子選手
「いつもは悔しくて泣いてるけれど、今日はそうでもない。達成感とか、いろいろなものがある」 (5位。04年アテネの銅に続く連続メダルを逃した)
法華津寛選手
「今まで私は、馬に乗るのをやめたことはない。今後もやめるつもりはない」 (67歳、史上最年長の日本代表として出場。35位に終わる)
野口みずき選手
「この4年間やってきた事は全(すべ)て北京で走る為(ため)だっただけに、今も走りたい、走ろうという思いは消える事はありません」
レスリング男子グレコローマン60キロ級・笹本睦選手
「ちょっとの差。メダルが欲しかったし、取る自信もあった。取るための準備もしてきた」 (00年シドニー、04年アテネに続いてブルガリアのナザリャンに敗れ)
室伏広治選手
「4年間が凝縮された1時間だった。力は出し切った」
バレーボール男子主将・荻野正二選手
「全試合通じて自分たちの力のなさを痛感した。この結果を現実と受け止めて、若手には今後に役立ててほしい」
レスリング男子グレコローマンスタイル84キロ級・スウェーデンのアブラハミアン選手
「金が欲しかったから、この五輪は失敗だ」(表彰式で銅メダルをマットに置き、メダルはく奪に)
ビーチバレー男子・グルジアのレナト・ゴメス選手
「勝って地元の人たちを元気づけたかった」
競泳男子百メートル平泳ぎ・米国のハンセン選手
「北島(康介)は真のチャンピオンだ。こんなにプレッシャーの掛かったレースであんなにすごい泳ぎをされたら脱帽するしかない」
陸上男子百メートル・ジャマイカのパウエル選手
「きょうはウサイン(ボルト)をうれしく思う。彼はとてつもない存在だ。手が届かなかった。彼は最も偉大なスプリンターになった」
夫々が,色々なものを背負って、オリンピックに臨み、敗れた。悔いを残すもの、怒りに震えるもの、納得しているもの、後に続く人々に思いをはせるもの…。どの言葉も、痛切で、ストレートで、心にずしっと響く。恐らく、皆絶望のどん底にいるはずなのに、敗北を真正面から受け止め、自分をみつめ、勝者を称え、残念な結果を誰かのせいにすることはない。
彼らこそ、敗れざる者たちだ。

