スタンドの球児たち
甲子園大会が始まる。
息子が、高校球児になってから、少し見方が変わってきた。グラウンドで躍動する選手よりも、ユニフォーム姿で、スタンドに陣取り、応援する子供たちへ、気持ちが傾く。
野球部というのは、拘束時間が長い。一回戦や二回戦で敗退する高校であったとしても、かなりの高校で、朝練習をやり、夕練習を行い、休日も長時間練習をしている。家に帰ったら、既に勉強する体力も気力もなく、疲労困憊ということもあるだろう。
9人で行うスポーツなのに、部員数は、40,50名いるのはザラ。名門校など100人以上在籍していたりする。その多くは、中学から名門シニアチームで、硬式野球していたメンバーである。
つまり、多くの高校において、ベンチ入りの18人に選ばれるのは、非常に難しいことだし、レギュラーになるのは、更に難しいというのが現実である。野球という面白いスポーツをやりたくて入部したのに、試合に出られないという、非常に矛盾に満ちた状況に、多くの子が陥る。
今や、未経験者が高校から野球を始めるような、牧歌的な世界はなく、多くは、小学校から野球を本格的に始めた子供ばかり。小さいときから野球ばかりやっている彼らは、野球の技量や身体能力の差異などは、直ぐわかってしまう。
恐らく、大半のメンバーは、クラブ活動開始後、余り日をおかずに、自分は、将来レギュラーになれない、ベンチ入りできないのでは?ということは、薄々わかってしまうに違いない。
多くの一年生は、新チームになった当初の8月の猛練習で、また2年生は、新チームのメンバーが固まる初春に、多くの退部者がでると聞く。その時期に、自分の将来に対する疑問が、確信に変わるのだろう。
試合にでる見込みが、絶望的に低い状況でも、毎日長時間練習をして、泥のように眠る単調な生活を耐えている多くの高校生がいる。彼らは、スタンドでメガホンを叩いて、陽気にチームの勝利を応援している。
高校野球の予選をテレビ観戦しているとき、スタンドの球児たちは、どういう複雑な想いを抱えているのかとても気になるのだ。
目的が、野球をすることから、野球部に3年間所属することに、変わったのか?それは、妥協なのか、前向きな選択なのか? 野球部の生活が終わった後、心にぽっかり穴が開いてしまうのではないか? 進学、就職など、未来のことは、少しでも考えたことがあるのか?
彼らの気持ちは、さっぱり判らないが、悔いのない時間を過ごして欲しいと思う。本当に、心から。

