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銀座のカラス  このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリー参照しているはてなブックマーク このエントリーをdel.icio.usに追加

弊社の入っているビルは、屋上が喫煙所になっている。

以前の喫煙所は、エレベーターホール(室内)だったが、消防法の関係などで、今では、屋根はあるものの、完全なるオープンスペースだ。

夏は、炎熱地獄、冬は猛烈な寒さ…という、過酷な環境の中、それでも、喫煙者の数は減るばかりか増加傾向にある。執務の区切りに、長いミーティングの後に、頭が働かない時…などに、多くの男女が集う、憩いの場所になっている。とは言っても、多くの場合、会釈をして、無言で、うつむきつつ紫煙をくゆらせるだけだが…。

この場所で、タバコを吸うようになって、もう数年が経過した。最近では、若い女性のスモーカーがほぼ半分以上を占めるようになった。時代の流れなのだろうか。

この場所の住人には、様々なメンバーがそろっている。いきなり、パイプをくゆらせる部長さん(っぽい人)。(この場所に、どれ位滞在するつもり?) オープンスペースに入ってきたときには、既に一服やっている女性(エレベーター内で火をつけたの?) 微動だにしない不動の姿勢から、チェーンスモーキングする中年男性。

中でも、「彼」は特別だ。タバコは喫さず、寡黙に、ただひたすら孤独な瞳で、彼方を見つめている。いつも、黒尽くめで、とびきりお洒落な奴。

「彼」、カラス君なのだが、その艶やかな毛並みの美しさに驚く。最近、顔つきに、哲学者然とした風格も備わりつつある。憂いに満ちた横顔に、思わず見とれてしまうことも多い。

その眼差しの向こうには、何があるのか? 聞いてみたい気もするのだが、周囲の人類を歯牙にもかけない峻烈な姿に、どうしても躊躇してしまう。(もちろん、カラス語を、俺が存じ上げないことも、大きな要因だ)

彼は、とっても、ミステリアス。
何を考えて、都会の町並みを見つめているのか? インテリジェンスさえ感じさせる瞳に、何を写しているのか? そして、俺様の熱い視線をいつまで無視し続けるつもりなのか? 全ては、謎だ。 

何かを決意したかのように、メガロポリスに飛翔する姿も、とても粋でいなせだ。

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