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サーキュレーションアタック  このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリー参照しているはてなブックマーク このエントリーをdel.icio.usに追加

昨日のブログに関して、「たらいうどん」が不味かったことを除けば、全部嘘もしくは、大幅な誇張、妄想ではないか…というマーメイドからの猛烈な抗議があった。

俺のブログは、以前から言っているように、フィクションなので、そんなことを怒られても困る。

マーメイドの言うには、「あなたは、学生の時から嘘つきで、どれだけ皆迷惑をしたことか?」ということで、例によって、過去の記憶がやけに生々しく語られるのであった。

SNSの凄い所は、閉じたサイトの中に、更に自分の所属するコミニュティがあり、その所謂「お知り合い、もしくは、お知り合いのお知り合い」という濃い集団の中では、情報伝達スピードが異常に速いということである。

俺の大学時代所属したクラブにも、同じ特徴がみられる。
人間関係が非常に密だったため、情報の伝達速度が恐ろしく速く、昨日起こった飲み屋での諍い、先輩の失恋話などなどの各種重要情報が、部員間をあっという間に駆け巡る。

また、地方大学のため、田舎から出てきたおっとりした人が多い…という特徴もある。
この「田舎」というのも半端ではなくて、まず四国出身者は、「広島」を大都会と捉えており、地元から広島市内の下宿先にくるのに、交通手段がロバって奴もいるのだ。

薄れ行く記憶を手繰り寄せると、俺はこの田舎から出てきた善良な若者たちを、笑いものにすることに、大いなる喜びと情熱を持っていたように思える。勿論、狙いは、副部長として、クラブに馴染んでいただきたい、明るい気持ちになって欲しい…というような暖かくヒューマニスティックな気持ちからだ~なかなか理解が得られなかったのだが…。

その当時、俺の中で、割とハマッテいたのが、サーキュレーションアタックという荒業で、一種の情報操作である。

この善良な若者達の中から、特別にピックアップして、デマを流す。そして、そのデマが、色々な部員間を伝わって、俺のところに帰ってきたところで、「そうか、あいつ、そんなアホなことをしていたのか」と驚いてみせる。つまり、自分が発信した情報を、伝聞情報として自ら受け取り、事実として認定する。または、更にひねりを加えて、爆笑ネタとして磨きをかけていくという一連のプロセスのことである。

ある飲み会のときに、後輩が二人(仮にM君とO君としよう)口喧嘩になって、M君一人途中で帰ってしまった。俺は、まあありがちな事とはいえ、クラブの雰囲気を暗くする事を恐れ、これは、笑い話にしておかねばならないと考えた。早速、同級生のK君に、「MとOが昨日飲み屋で喧嘩して、Mが、Oに、いきなりキックかましたんで、ホントびっくりしたわ。」という話をした。M君は温和で暴力をふるようなタイプではない。かなり太っていて、突っ張りはしても、キックを放つようなムエタイ系の体型とは程遠い。まあ、そんな彼が、怒ってキックをしたというのが、かなり驚きで可笑しい。

K君は、驚いて、「おいおい、あんなに太ったMが、よくOの頭に蹴りを入れる事ができたな、そりゃあ南斗水鳥拳か?」と面白がって、合いの手をうつ。

このサーキュレーションアタックには、洒落がわかる奴に伝達する...という掟がある。そうでないと、えらくマジに受け止めたり、性質の悪い中傷にすりかわる。あくまで、目的は、殺伐とした現実を良質なユーモアに変えることなのだ。

K君はこのあたりの機微を十二分に理解しており、この段階で、キックをかました=頭に蹴りを入れる…という風に、あの短い足で、頭に届くかよ...という微妙なひねりを与えている。

その次の日の夕方、部室にいると、先輩がやってきて、俺に聞く。「おい、飲み屋で、MがOに、助走をつけてドロップキックしたってホントか? わざわざ2~3メートル後ろに下がって、勢いつけて、思いっきり蹴ったって聞いたぞ。お前も一緒に居たんやろ」

というわけで、話は、多くの人を経由するに従って、どんどん歪められ、尾ひれ背びれがついていく。ある意味、飲み会ネタとして洗練されていくのだった。

先輩には、「助走つけて蹴ったんじゃなくて、一度カウンターに飛び乗った後、側頭部に、膝蹴りをいれたんですよ。もう、驚くやら、おかしいやら…」と答えておいた。

こうして、仲間内の飲み会では、M君は「空飛ぶキッカー」なる異名をとり、その場によって、いや助走距離は10メートルだ...とか、膝蹴りでなくてダイビングボディプレスだろ...のような異説も飛び出し、部内の明るい雰囲気は保たれたのであった。

本当は、マスコミ報道の自家中毒ぶりについて論じ、シリアス社会派路線を突っ走ろうと思ったのだが、前振りが長すぎたので、今日はここまで、でした。

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