品格
ここ1~2年で、「品格」という言葉ほど、一般化した言葉ってないのでは...。坂東 眞理子.氏の記事をみて、漠然と、まあ、そんな感じがしています。
品がある、風格がある、上品、気品がある...という言い方は、以前もありましたが、「ホンニャラの品格」という言い方は、ここ最近顕著に見られる表現ではないでしょうか、皆さん。(と、訴えるほどのことでも、ないが)
国家の品格、女性の品格、ハケンの品格、トカゲの品格、お餅の品格、高品格(たかしなかく 俳優、『大都会』などの人気ドラマに出演し人気を博した。晩年である1984年の麻雀放浪記では主人公の青年に麻雀の積込み技を伝授する老人「出目徳」を演じ、博徒の刹那的な生き方を好演。1994年死去)など、バリエーションは色々。
辞書的な意味は、「その物から感じられるおごそかさ。品位」(三省堂国語辞典)ということらしいです。
「品格」という語の使用頻度が上がっているということは、現代日本には、「品格」が不足していることの裏返しでしょう。しかも、極端に...欠乏しているってことでしょうね。
また、日本人の多くは、「品格」がある状態を、非常にポジティブに捉えているってことなのでは...と愚考するわけです。
「品格」ある状態に憧れているし、できれば、そうなりたい。また、「品格」あるものを、所有したい、評価したい、味わいたい...という気持ちが、つよ~いのでは。 単なる金持ちではなくて、家柄も良くないとね、この器は、実はマイセンのうんにゃらかんにゃらで...って感じなんだと思います。
国家の、女性の、ハケンの、トカゲの、お餅の、ネコちゃんの、洗濯機の(たかしなかく...は一応除いておこう)...に続けて、意味が通るマジックワードだから、かなり幅広い意味を含むってことでしょう。
「品格」からイメージされるものも多様で...深み、伝統、歴史、重厚、高級...って感じでしょうか?
あくまで、独断と偏見で恐縮ですが、「品格」とは、不動、不変のルールや基準みたいなものを示していて、日本人は、時間の経過や流行などには影響されない、精神的な拠り所を求めているってことではないでしょうか?行動・考え方における絶対的価値観みたいな...宗教に近いもの...を欲しているのではないかと、再び愚考するわけです。(自信がないので、激しくへりくだる俺だった)
既に、「一生懸命働けば将来必ず豊かになる」と無邪気に信じている人はいないだろうし、「科学の進歩は、我々を幸福にする」ということにも、皆色々言いたい事はあるでしょう。前世代が抱いた、科学技術の進歩に基づく進歩信仰は、既に消え去って久しゅう御座います。
それに代わるものは、今のところ無い、無い、全然無い。価値観の多様化という、いかにもポジティブな表現で示されているが、裏を返せば、誰も、何も確たるものは、もっておらず、仲間はずれにならないように、キョロキョロ周囲をうかがっている状態なのでは...と思うわけです。
最近の新聞報道によれば、
東京の結婚情報サービス会社「オーネット」による意識調査
調査は昭和62年4月から63年4月にかけて生まれた男女計800人を対象に実施。選択肢回答。主な結果は以下の通り。(MSN産経新聞から抜粋http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080112/trd0801120959005-n1.htm)・親の世代の暮らしぶりとの比較では、43%が「悪くなる」と回答。「自分たちの子供の世代では生活はさらに悪くなる」と答えた人も44%に上った。
・将来希望する生き方を「経済的な豊かさ」とした人は18%だったのに対し、過半数の51%が「家族や友人を大切にする暮らし」を選んだ。
・「フリーターになるかもしれない」との不安を抱える人は2年前の調査と比べると半減し4人に1人の26%。しかし「自分の求める仕事が見つかるまではあきらめない」とした人は18%にとどまる。
・「仕事に燃えている人はすてきだと思う」は49%、「自分のしたい仕事に就けるように今、努力している」は39%と2年前から大幅に減る。
新成人は、将来は、そんなに明るくないし、今より悪くなると思っているんですね。働ければ、就職先は拘らないし、仕事に燃えるなんてカッコワルイし...。俺、トランクス半分だしちゃうぜ...ってな感じなんでしょうか?
別に、新成人だけの話ではなくて、大人だって、オケラだって、アメンボだって、皆将来の不透明さに、恐れおののいているし、どうやって生きていけばいいかなんて、わからないんでしょう。
まあ、歳をとると、これまでやってきた仕事やら生活やらを惰性で続けることにより、思考停止、臭いものにはふた、難しい事は考えないでGOってことができるので、このあたり、反応のビビッドさが変わってくるのかもしれません。
まあ、そういう、不確かで、危うい生活の中で、時代の荒波を潜り抜けた、確固たるものには、憧れを抱いてしまうし、「あるべき」姿みたいなものを求めてしまうのではないでしょうか。
そういうコンテキストでの、「品格」ブームなんじゃないかなあ、まあ、荒っぽく言うと、そんな感じで捉えています。
ただ、品格あるものなど、そう簡単に身に付けたり、手に入れたり、理解できたりするわけはないし、何かを得る為に地道な努力を継続できる人以外は、難しいでしょう。
俺だけの感覚かもしれませんが、「品格」という言葉って、使われる度に痩せていく気がします。「品格」のない多くの人々の手垢のついた「品格」という言葉は、どんどん「品格」を失っていく気がするのは、少し皮肉な結果です。

