高橋尚子選手について
日曜日、割と勢い込んで、東京国際女子マラソンをみた。
前年の高橋尚子選手の鮮やかなロングスパートには、本当に鳥肌がたった。え~こんなに早くスパートしちゃうのという感じで、バ~ンと飛び出して、心配しながらみていたら、そのままゴール。アテネオリンピック選考会の失速から、見事に復活を果たした。
今回も、同様なスカッとする結末を期待して、レースを見守った。途中で、手袋を外したところで、あっスパートだ、帽子を脱いだところで、次こそ…なんて思っていたが、結局最後まで爆発することはなく、最後には後続のランナーにも抜かれて三位。
三位なのだが、このレースの主役は、紛れもなく高橋選手。拍手、声援、記者の集まり具合と全てが、高橋選手のほうを向いていた。
嘗ての高橋選手は、ただマラソンを速く走る選手だったような気がする。炎熱下のアジア大会での優勝。シドニーでは、サングラスを投げ捨ててのスパートで金メダル。
彼女が走ることは、単に42KMを2時間20数分で走るということではなく、色々なものを、我知らず重ねてしまう、そういう存在になっているような気がする。実力をもちながら、オリンピックに出場できず、恩師のもとからひとり立ちし、リベンジを遂げる、34歳という年齢で北京を目指す為、全力を尽くす…振幅の多い競技人生、栄光と挫折、挫折から復活、色々なものをオーラのようにまとって走る姿は、他の選手とは全く違う光彩を放っている。
最後の5KMは、ジョギングをしているかのようなスピードで、本当に苦しいレースだったが、彼女にとって、これも次のドラマの布石でしかないように思える。一般大衆は、真のヒーロー、ヒロインを見分ける能力がある。一位、二位の選手におくられたものとは比べ物にならない声援が彼女に向けられたのは、この敗戦が彼女を巡る新しい物語のプロローグに過ぎないことを、無意識に感じ取っていたからではないか?
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