不思議な国 タイ
米国が、タイへの軍事支援費2400万ドルを取りやめた。理由は、軍事クーデターを起こした国への軍事支援はしないためらしい。
はて、軍事クーデターとかあったっけ?
この9月にタイで起こった軍事クーデターほど不思議な光景はなかった。確かに、バンコク市内には、装甲車と武装した兵士が溢れている映像が、日本のニュースにも流れていた。しかし、流れていたのは、それだけではなくて、装甲車の上でニコニコしている子供、装甲車の横を爆走するトゥクトゥクやタクシー。のんびり観光している人々。何事もなさそうに、職場に急ぐ人々。どうなっとんじゃと思ったら、国王が、この軍事クーデターを追認し、軍事色の薄い内閣がつくられた。その間、一発の銃声もなかった。
タイという国は、95%超の識字率にみられるように、教育水準のとても高い、非常に知的な国である。また1980年以降は、高度経済成長を遂げ、日本や欧米の企業が多く進出している。また、寺院も多く、観光客も多い。
そんな国なのに、第二次大戦からなんと16回も軍事クーデターが起こっており、非合法の政権交代を数多く起こしている。つまり、今回軍事支援を打ち切られたように、民主主義が未成熟という判断もできるかもしれない。
しかし、これは、単に欧米のものさしでは、計ることができない、ある種の国の形なのかもしれない。1992年のクーデターは流血をうんだが、今回に関して言えば、誰一人死んでいない。敬愛されている国王の調停には、一もニもなく服従をし、軍事色の少ない政権を誕生させているのである。国王が、「寛大なる御心をもって」お導きになるという、徳による政が行われているとみるべきではないか?
現代において、こういう政治形態が成立していること自体が、ほぼ奇跡に等しいのだが、成り立っているのだからしょうがない。所詮、議会制民主主義の歴史など、チャクリー王朝の歴史と比較すると、まだまだ浅いし、単に欧米でのローカルルールに過ぎないのかもしれないと思う。
タイって、大らかなで、懐の深い国だ。一度も他国の植民地になったことがなく、第二次大戦のときも、連合国側に鞍替えをして、戦勝国。徴兵のときは、くじ引きで、陸海空のいずれの軍に配属されるらしい。冗談みたいに、大らかだ。

