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「下流社会」を読んで  このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリー参照しているはてなブックマーク このエントリーをdel.icio.usに追加

「下流社会」(光文社新書 三浦展著)を読んでみました。「下流社会」というのは、「上流社会」に対する概念で、著者の造語です。

「下流社会」の著者による定義は、「単に所得が低いだけではなくて、総じて人生への意欲が低い。その結果、所得が上がらず、未婚のままである確率も高い」としており、いわゆる団塊ジュニアと呼ばれる現在の30代前半を中心とする若い世代において、この傾向が強くなってきていると指摘します。

この団塊ジュニアは、日本が総中流階級化して、生まれた初めての世代であり、そのため、物質的には恵まれているし、激しい貧富の差も見たことが無い。よって、上昇志向がかき立てられる事がなく(元々豊かだから)、ダラダラ生きていける...と思っている。

しかし、実際、この団塊ジュニアの放り込まれた世界というのは、低成長、成果主義で、上昇する意欲と能力があるものだけが、良い暮らしをして、そうでない者はどんどん下降していくという「自己責任に基づく競争社会」「ある種のゼロサム社会」

つまり、彼ら団塊ジュニアは、戦闘意欲がないまま、戦場の真っ只中にタイムスリップして登場してしまったような存在なのかもしれません。

このような階層格差が生じる原因として、コミュニケーション能力が指摘されていることを興味深く感じました。つまり、

・コミュニケーションが苦手と思った子供は、自らを「負け組」と定義しがちであり、コミュニケーションスキルの違いが延長された先に「引きこもり」等の事象がある

・学歴が高いほど、「自分の意見を人に説明する」「知らない人と自然に会話できる」というスキルが高くなるというデータがある...とのこと

著者によれば、「上流社会」(これは所得が極端に高いことを意味しておらず、中の上くらいのレベル)の男性は、人の好き嫌いが余りなく、人付き合いがよく、気配りが出来て、実行力があり、依存心が弱い...という特長をもつ。女性においても、依存心が弱く、人の能力や長所を伸ばすことが出来る...と考える傾向が強い。

この「上流」の特長は、そのまま仕事が出来る奴、友達にしたい奴、頼りになる奴...の特長でもあるのは、偶然の一致ではなさそうです。

また、下方に流れてゆく層のキーワードは「自分らしさ」の重視。著者が喝破しているように、この「自分らしさ」とは、依存心の強い自分、他者との交わりを恐れる自分、やる気のない自分を肯定するためのEXCUSEとして使われています。

個人的には、終身雇用など組織に個人が守られている時代が終焉し、「個」の時代が到来しているように感じています。「国家の品格」「ウェブ進化論」でも、前提とされているのは、独立し、何かに能動的に「参画する」個です。

著者は、様々なデータを駆使して、「下流社会」の特徴を分析していますが、言い換えれば非常にシンプルな事実を説明していると思うのです~「個人の意思が、人生の物質的、経済的、社会的な豊かさを決定する」

同じ場所に住み、同じ人間としか付き合わず、狭い社会に固定化された若者は、昔のムラに縛りつけられた農民と同じで、「新しい農民」ではないか...と著者は言います。

軋轢を恐れず、リスクをとり、色々な事柄に「参画する」個のみが、社会を旋回させる力になるのであろうと確信します。

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三浦展(1958年生まれ)という人の書いた本『下流社会』(光文社新書)を読んだ。80万部も売れており [詳しくはこちら]

コメント

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