ITベンチャーの経営は難しいけど、楽しい
僕は、余り成長性のない産業用資材メーカー出身者です。このメーカーの経営と比較すると、ネットベンチャー企業の経営は、非常に難しいと感じています。
まず、以前勤めていた会社の売上は、市場の成熟化が進んでおり、余り変化をしませんので(前年対比プラスマイナス5%弱)、フォーカスはコストダウンでした。資材費を下げ、電力費を下げ、人員数をコントロールし、流通費を下げ、棚卸資産を圧縮し、工程を簡素化し…など既にやるべき事が見えています。商品に関して言えば、プロダクトサイクルも長く、取引先も固定的なので、大口顧客とキチンとパイプを維持し、彼らのニーズに合わせた商品を、徐々にラインナップに加えていくというアプローチになります。MAについては、同業者をホリゾンタルインテグレーションする、或いは従来商品の周辺領域にある商品・サービスのメーカーを買収していく…なども検討できるでしょう。
つまり、変動要因が少ないので、選択肢が非常に限定的です。その各項目を地道につぶしていくというアプローチでOK。(人も沢山いるし)
IT業界では、非常に高い成長率を求められます。以前証券会社の方と話しをしたときには、毎年3~4割は売上、利益が増えないと、新興市場にIPOは出来ない…とのことでした。売上1億を2億にするのは、出来ないことはありませんが、1年間で、10億の売上を14億にする、20億を28億にする…というのは,次元の違う話です。相当のラッキーパンチがない限り(写メールの普及、着メロの爆発などに乗っからない限り…)中々骨の折れる話しです。これを実現しても、成長率100%から40%へと鈍化していますね…などと言われかねないのが辛い。しかも、技術革新やサービストレンドの変化は激しいので、短期間で陳腐化していく傾向が強いです。継続的な変化と成長を実現しなくては、生き残れない~ホント笑ってしまう。
ネット業界で何がヒットするのかは実際よくわかりません。大抵はUSや韓国の類似企業の動向をみて想定をしたりしますが、不透明感は強いです。ですので、如何にして、儲かるであろうドメインを定め、自社サービスをタイムリーに投入できるかが、大きな課題になります。ギャンブルに近いところです。またプロダクトサイクルが短いので、短期間で開発投資を必要とされることも、リスクを更に高めます。また人、物、金のリソースも、限られています。
成長しないと、次の成長のための資金調達もできないのですが、逆に急に人員を増やし、派手にTVコマーシャルを打って、費用増~キャッシュアウトで破綻したベンチャーは、多々あります。 ギャンブルに成功したとしても、投資から資金回収までの期間にかなりタイムギャップがあるので、資金繰りに躓くこともあります。引き返せる地点を意識しつつ、積極策を打つという、綱渡りを余儀なくされます。
こういう業界なので、単なる「いけいけドンドン」の人には向いていないし、かといって「石橋をたたいて渡る」人にも向いていないような気がします。将来が不透明で、不確実であるということを、「将来は無限に広がって楽しいなあ」と思う、一種イカレタメンタリティと、リスクを分析して慎重に前進できる緻密さ~正気~とを持ち合わせることが必要のように思えます。
つまり、かなり冷静で緻密なイカレタ人が向いています。(具体的人間像は思いつかないですけど)
僕自身は、大企業に勤めていた時期と今の生活を比べると、肉体的・体力的には厳しいですが、今の方が、楽しく、幸せです。「将来がよくわからない」ことって、とても素敵だと心底思っているのですが、もうかなりイカレテいるのかもしれません。
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